「今どきの若いもんは海外で働きたがらない。」とよく聞く。
それを裏付けるデータを含む産業能率大学大学院による調査を受けての記事が9月にウォールストリートジャーナルに掲載され、昨日の日経新聞朝刊にも似たような記事が出ていた。

最近、海外進出している日本の中小製造業の方とお話する機会があったが、まったくそのとおりの悩みがあると聞いた。
若手が海外赴任を断るから、結構年配の海外赴任経験者が無理をして体にむち打って、順番に赴任するとか。
若者が海外で働きたくないのは、日本中の一般的な傾向らしい。
いわゆる「一般社員」のうちの70.7%が、海外に赴任したくないと、産業能率大学大学院による調査に回答したそうだ。
おいおい、何を言っているんだ、と思う。
僕はいま30歳くらいで、これから先30年くらいは何かしら働くんだろうなと思っているのだけど、ずっと日本でみんなが働けるとは思えない。
人件費の安さだけでなく、技術も向上し関税の負担も少なくなることなどから、製造業の海外シフトが止まることはないだろうし、それに伴って他の産業も海外に出て行くだろう。
人口の構成を見れば人口が減ることはどう考えても必至なわけで、人がいないと仕事はなくなるから、日本での仕事はどんどんなくなっていく。
そんな中で自分が周辺の国に比べて賃金の高い日本で仕事を続けられるとしたら、それは意識しなくとも他の日本で働きたい人との競争に勝ったときにだけできることだ。
僕は自分がずっと勝てるとは思えない。
今、海外に進出している日本企業では、以前に比べて日本からの派遣者を減らし、現地採用(日本人に限らない)を増やしていると聞くが、しばらく経てば日本国内でも日本人に限らない採用が増えていくのではないかと思う。
日本人だからそれだけで高給という、いまの恵まれた状況は続かないだろう。
上で紹介した日経新聞の記事中に、海外赴任したくない理由は「リスクが高い」の56%がトップとあるけども、ずっと日本だけで働いて将来失職したときに行き場がないほうがリスクだと感じる。特定の資格や技術なんかがある人は別だろうけども。
というわけで、僕は機会があれば、できるだけ早いうちに、是非海外で、特にアジアの発展途上国で働きたいと思っている。
将来的には、できるだけどこにでも住めるような知識、ノウハウを身につけておきたいと思っているからだ。
今の職場に勤めていることの理由の一つは海外転勤の可能性が高いことだったりする。
昔、札幌で高校生だったころ、関東に出てくるのは怖かった。修学旅行で泊まった新宿では、外は危ないから、と外出禁止だったし。
今は日本国内なら、東京でも神奈川のような首都圏でも、札幌のような地方都市でもどこでも住めると思う。(本当の意味での田舎には住んだことがないので自信がない。)
同じようにいま、途上国に住み、働く経験を積めれば、どこかの国の街で暮らすことができるという自信につながるだろうと思っている。
海外で働くと言うと大きく分けて、日本の企業の現地駐在員か、現地企業(日系かもしれないし、そうでないかもしれない)で直接雇用(現地採用)の2パターンがある。
国や職種にもよるけども、一般的に言って現地駐在員は安定した高水準の待遇、直接雇用は低賃金ということが多いようだ。
現地駐在員の口はなかなか見つからないけども、国名と就職といったキーワードで検索すれば、日本人がたくさん行っている国であれば何かしら現地採用の職を募集しているところは見つかる。今の日本ほど就職のハードルは厳しくはないと聞く。
現地採用だと、現地で暮らす分には困らないけども、日本に戻ってくるには航空賃や滞在費を考えると心許ないけども、運転手までついちゃう駐在員よりも現地採用の方が経験としてはいいのかな、とも思う。
産業能率大学大学院の調査の結果を見ると、20代の63%が「今後、海外で働きたいとは思わない。」と回答している。30代は67%。
年金が老後の生活を営めるほどもらうことは期待できないから、引退するまでにはそれなりに貯金を積んでおかないといけない。
みんなこういう不安はあまりないのかな。
「30年後に、いまの勤め先はあるだろうか。あったとしてクビになってないだろうか。給料はきちんともらえているだろうか。」
「30年後に無職だったとして、誰かが僕にオファーをくれるだろうか。」
「30年後に、海外に行くことすら躊躇してしまう自分に仕事はあるのだろうか。」
というわけで、僕はこれからまだ長く働く人は海外を経験しておいた方が、いいのではないかと思うのだけど、「若者」のみなさん、いかがお考えでしょうか。
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